削除ボーイズ0326
- 作者: 方波見大志
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2006/10
- メディア: 単行本
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ポプラ賞とやらの大賞をとっただけのことはある。賞金は2000万らしい。才能ある人にはこれくらいあげても全然高いとは思わない。この国はそもそも芸術とかにケチな性質だし、金があるベストセラー作家に賞金与えるわけではないので意義がある賞だと思わざるを得ない。
話がそれた。
あるポイントから直前の3分26秒をなかったことにできる、歴史操作系の小説。爽快な結末の話ではないが、かなり良く出来ている話で、こういった系統の話としては混乱せずに読めたこともあり一番の評価を与えたい。個人的には結末以後のエピローグは欲しかったが・・。
以下、ネタバレ含む
エピローグが欲しいというのは、ちょっと終わり方があいまいだから。
死んだはずのものを、道具を使って無理やり生かせても、本来のものとは思えない。ゾンビのようだというハル*1に対して、反発する主人公だが、主人公の中で、求めていた事故以前のハルが、道具を使って実際事故以前に戻ったら美化されすぎていて、ハルとは思えなくなっていた、つまり本来のものと違うという体験をさせられ、結局道具そのものを無くしてしまおうという結論にいたる、結論にいたった背景にはハルのことだけではないのだが。小説のラストに向かうにつれ、小説冒頭のその道具をなくそうとするシーンにつながるんだなという感覚と残りページから小説冒頭のシーン以上の結末は描かれないんだろうな・・と思いつつ読破。結局描かれないわけだが、この手の話は描かれないほうが小説としてはベターだと思う、つまり無難だということ、描いていたら賞をとれなかったかも。多分人気が出てTVや映画になったときには付け足されるんだろう。さて、道具は無くなるとして道具がきっかけで生まれた絆は無くなるのか?というところだが、なくなるのが自然だろうなという結論に達する。想像するのは大好きな映画のバタフライエフェクト的な結末ということになる。
TVや映画にするものが*2どうするかは楽しみ。
小説を読んでいて思ったのが、無かった事にしたい出来事は、誰もが持ってるはずだけど無かった事にはできないし、できないほうがいいんだと思う。時間操作だけでなく、命に関わる奥深い所は神の領域だと思っている俺は行き過ぎた医療行為に対しても不快感を覚える。